第T部@
☆ 12.ソイル探しは四匹で
さて、僕、ルル、ラウフ、そしてレイユウは、中央公園に集合した。モチロン、ソイルを探すためだよ!
「ねえルル、僕達を呼んだのは、どうして?」
僕は、僕らを呼び集めたルルに訊いた。ま、上記したように、分かってることなんだけどね。それは皆同じだと思う。でも、何かちょっと、訊いてみたいじゃん!
「え〜っと、今日は、しゃべる動物を探しま〜す!」
「はあーい!」
僕、ラウフ、レイユウは、元気に(?)お返事。
「白鼠のソイル。特徴は、白くて長い尻尾」
ん?
「……ねえ、ルル……? そんなこと、……何時知ったの……?」
だって、そんなことはスワープの手紙には書いてなかったもんね。するとルルは、
「アンバーさんに会いに行って訊いただけだよ」
何だ。僕は拍子抜けした。ってゆーか勝手に!?
……まあ、ルルは最年長だし……いっか。
「土の中にいるそうなので、穴を掘って探してください。いなかったら、ちゃんと埋めてねー。それでは、穴掘り開始!」
一時間後。
「はあ〜」
僕は体を起こして、たれてきた汗をぬぐった。ずっと掘り続けてたんだけど、何もない。白いものさえ出てこないんだ。ルルも溜め息をついて、
「今日はもう、あきらめて帰る?」
と言ったその時!
「何コレ!?」
レイユウが叫んだ!
「何? 何!?」
皆して、レイユウが掘っていた穴を覗き込む。すると、細くて白いものの先っちょが……
ソイルさんの尻尾の先っちょだ!
「これはソイルさんの尻尾の先っちょよ! よーし、掘ろう、皆で!」
こぶしをおう! と突き上げる!
ソイルさんの――正確には白い鼠の――姿が現れたのは、十分後。周りの土はやわらかくて、きっとこのヒトが掘ったからなんだろうなあ、と僕は思った。
ソイルさんは、眠っていたみたい。僕らが揺らすと目を覚まして、v
「ほう……? きゃっ! あ、あら……」
って飛び上がっちゃった。びっくり! したみたい。
「ごめんね、ソイルちゃん」
ラウフが気安く謝ると、ソイルさんは、あら、と呟いて、
「あたし、ソイルちゃんじゃないわよ。チーズよ、チ・ー・ズ。両方白くて紛らわしいけどね」
ソイルさん――じゃなくて、チーズさんはくすっと笑った。
「ソイルちゃんの家は、アソコの――(チーズさんは指差す)――ジャングルジムの真ん中らへんから入れるわよ。ソイルちゃん、いると思うわ」
うおっ!? 超有力な情報だあっ!
「ありがと、チーズ。じゃっ!」
僕らは挨拶もそこそこに、ジャングルジムの中央へダッシュ!
「バアイバーイ♪」
そんなチーズの声が聞こえた。きっとのんきに手でも振ってるんだろうな〜。
おっと。それはほっといて……。
ダッシュ・ダッシュ・ダッシュ!
辿り着いた、ジャングルジムの真ん中!
「よーし、掘るわよ!」
ルルの一声で、
「オウ!」
掘って、掘って、掘りまくる!やがて、僕らの努力は報いられたんだ。
「アッ!?」
ラウフが大声をあげて、僕らはさっと穴を覗き込む。
「あっ!?」
「わっ!?」
「えっ!?」
そう、今度こそ……今度こそ本当に本当の、
ソイルさんの手!
「ソイルさん……?」
ルルが小さく呟いている間にも、小さなその白い手はせかせかと働いて、穴を拡げていく。
やがて現れたのは、(言っちゃチーズに悪いけど)チーズよりもスマートな、真っ白い鼠だった。少し戸惑い気味。
「ソイルさん……ですか?」
ルルが訊ねると、
「はい。いかにも、私はソイルですが……」
ソイルさんは、不審そうに僕らを見回す。
「貴方達……どなたですか?」
ルルが前に進み出る。
「私は、チョル族α氏のキルルと申します」
「僕は、ショル族α氏のレナルです」
「ムチ族β氏のラウフだよ!」
「そして、プラント族γ氏のレイユウです。お見知りおきを」
今気付いたけど、レイユウって自己紹介するとき、いっつも最後に「お見知りおきを」ってつけるんだね。何でだろ?
ま、それはいいとして。
「キルルさん、レナルさん、ラウフさん、レイユウさん、ですね」
コクンと頷くソイル。
「お茶でも飲みますか? ……どうぞこちらへ」
ソイルは長い尻尾を優雅にひるがえして、今さっき出てきた穴を引き返していった。
「行こう!」
モチロン、僕らは着いていく。
そこは……
「ここが、私の住居です」
「うわあ〜」
僕らはソコを、感心しながら見回した。
ソコは、ソイルの家。机も土、椅子も土、ベッドも棚もみ〜んな土! 土でできているんだ!
「ソイルって、スゴイね。ぜ〜んぶ土で作ったんだ!」
キラッキラした眼でラウフが言うけれど、ソイルはいいえ、と首を横に振った。
「それは、粘土でできているのであって、普通の土ではありません。まあ、乾く前に土を塗ったことは確かですけど」
「へえ〜」
それはそれで、スゴイよね!
ソイルって、スゴイ! 思わず溜め息が漏れちゃうよ。
あ、そういえば。
「ねえ、ソイル。さっき、チーズってヒトと会ったんだけど、家族か何か?」
僕が訊くと、ソイルはちょこんと首をかしげた。
「……そうですね、チーズと私は、従姉妹です。小さい頃は、よく遊びました」
「今は?」
ラウフが訊いて、
「今も一緒にお茶を飲んだりしますよ」
そう言って、チャーミングに笑うソイル。
……とっても可愛い。なんか、ファイアの気持ちが分かってきた気がする。
横を見ると、ルルは複雑そう。素直に喜べないのかな。女の子だもんね! 男には分からない想いってもんがあるのさ!
へへへ、ちょっとかっこつけてみました。恥ずかしい……。
「ところで」
レイユウが言った。
「貴方がたを――ウィンド、サンダー、ウォーター、リーフ、ファイア、そしてソイル――を『しゃべる動物』、と今までは呼んでいたのですが、それではちょっと……。なので、正式に呼び名を決めたらいかがでしょう?」
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